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&FORCEの戦略ブランディング基礎講座(第9回)
「ブランディング活動の第二段階<ブランド戦略策定>では具体的にどういうことをするのか?」
【東京・沖縄の戦略ブランディング会社】

こんにちは。&FORCEの広報担当です。
このブログでは、戦略ブランディングについての基礎的な知識を学びたい方のためのお役立ち情報を発信して参ります。

具体的には、次のようなお悩みをお持ちの方にお役立ちできる内容となっています。

「売り上げを安定的に伸ばすためにブランディングが大切って聞いたけど、そもそもブランディングって何?」

「スタートアップ企業として、認知度や信頼感を獲得するためにブランディングに取り組んでいきたいけれど、何をどれから始めたらいいかが分からない・・・。」

「親から会社を引き継いだ後継ぎなんだけど、親の世代とは時代状況も違うし、新しい時代に合わせて会社をブランディングし直してみたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」

知っておくと有益な戦略ブランディングの基礎知識をご説明していきますので、ご興味のある方はぜひご覧になってみてください。
どうぞよろしくお願いいたします。
(なお、本テーマの記事は連載形式になります。)

戦略ブランディング基礎講座第9回目のテーマは、
「ブランディング活動の第二段階<ブランド戦略策定>では具体的にどういうことをするのか?」です。

それでは行ってみましょう!

_1.そもそも「戦略」とは?

ブランディング活動の第二段階は<ブランド戦略策定>を行いますが、
そもそも「戦略」とは何でしょうか?

「戦略」という言葉は、もともとはギリシャ語由来の軍事用語でした(ギリシャ語:strategos=The art of the general将軍の術→英語:strategy戦略)。
それが現在では、戦争の場面だけではなく、厳しい市場競争が行われるビジネスの分野においても戦略的な考え方の有用性が認識されるようになったために、「戦略」という言葉が広く使われるようになっています。

「戦略」とは、文字通り、戦を略すと書くように、無駄な戦いを避けて効率よく勝利という目標を達成するためのストーリー(作戦計画)のことです。

「戦略」の具体的なイメージを登山の場面で例えますと、まずは①現状分析をします。
登る山の標高や自然環境、登山口までの交通アクセス、標準的な登山ルートの状況などを地図やネットで調べたり、経験者にインタビューして聞いたりしますよね。
また、自分の体力や登山知識・技術の有無、持っている登山装備など、自分自身の現在の状態についても把握します。
目指す山にふさわしい知識・経験・技術があるかないかを把握しておかなければ、登山を成功させるための戦略を練ることができないからです。

次に②目標設定をします。
登山の例では、一般的には、予定の日時に無事に頂上までたどり着き、そして、無事に下山してくることが登山の目標設定になるでしょう。

最後に③ストーリー(作戦計画)を描きます。
戦略的な意味でのストーリーとは、現在地と目標地点とを結ぶための人員配置や予算計画を含めたロードマップのことです。
山登りをする時にも登山計画を立ててから登り始めますよね。

具体的には現状分析の結果と目標設定とを比較した時のギャップを埋めるためのストーリー(登山計画)作りをします。
突然の天候の変化や不慮の怪我などの不測の事態への対処も考慮に入れながら、目標達成のためのいくつかの登山ルートを比較検討して選択し、最も現実的かつ効率的なロードマップを作り込みます。
本格的な登山になればなるほど、目標達成のためだけではなく、遭難事故を防ぐためにも登山計画作り(=戦略策定)と関係者への周知が大切になってきます。

登山だけではなく戦争やスポーツなどの勝負事においても、勝利の原因には運が味方したということもあり得ますが、他方、敗北の原因はほぼ必ず戦略の失敗にあります。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(松浦静山『甲子夜話』)という言葉もあるほどです。
また、約2500年前に中国で書かれた戦略書の古典である『孫子』の兵法も、冒頭の計編で戦略の重要性を述べています。

つまり、戦争とは国家の存亡の分かれ道と言えるほどの重大事であるから、戦う前から敵と味方や地形などの様々な点を比較検討して、勝つ可能性があるかをよく熟慮しなければならないということです。

ちなみに、孫子の兵法は古今東西の有名な政治家や軍人、経営者が愛読書としていることでもよく知られています。
有名なところでは、三国志時代に最大の魏王国を作った曹操孟徳、日本の戦国武将である武田信玄や徳川家康、また、現在の有名な経営者ではソフトバンク創業者の孫正義社長、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏などです。

何か達成したい目標がある場合に、まずは戦略を立てることが大切だということをご理解いただけたのではないでしょうか。

_2.ブランドの目指す確固とした理想の姿(=目標地点)を設定する

ブランディング活動の第一段階である<調査・分析>によって現状=現在地は把握しておりますので、第二段階のブランド戦略策定では目標地点を設定することから始めます。

この場合の目標地点とはブランドの目指す理想の姿のことであり、事業戦略や商品戦略、流通戦略、人事戦略、コミュニケーション戦略などすべての企業活動がこれを目指して動いていくほどの大切なものになります。

そのため、戦略ブランディングを成功させるためには、ブランド独自の明確な中核概念(=ブランドの目指す理想の姿)を設定することにより、顧客から理解・納得・共感されるようなものにするとともに、顧客満足実現を担う従業員の活動の基準になるようにしなければなりません。

そこで、ブランドの中核概念に以下の内容を必ず明記しておきましょう。

①自社ブランドだからこそ顧客に提供できる価値とは何なのか?
②自社ブランドと他社ブランドは具体的にどこがどう違うのか?
③ブランド価値を提供していくにあたってお客様にどんな顧客体験を約束できるのか?
④従業員が迷った時に何のために活動しているのか、どこへ向かうべきかを指し示す判断基準(原点)となるものは何か?

これら4つの質問に対する答えをブランドの拠りどころとなる中核概念に含めることで、近い将来、強いブランド価値を生み出す原動力になります。

ブランド価値が高い企業ほど、そのブランドだけにしかない独自性を感じさせ、かつ、明確な形で、目指すべき理想の姿を持っているものです。

そして、経営トップをはじめ全社員がその目指す姿を理解し、日々の業務の中で実践に努め、さらに、その実践が将来にわたって繰り返されるように研修などを通じて教育に努めています。

このように、ブランド戦略策定においては、目標地点の設定がブランディングの成否を分けるほどの重要な要素になっています。

_3.現在地と目標地点を結ぶいくつかのロードマップを描いてみる

ここまでで現状=現在地と目標地点の設定が終わりましたので、いよいよブランド戦略策定の山場であるロードマップ作りに入ります。
どこに、どれだけの人員を配置し、どれだけの予算を投入し、どれだけの時間を使うのかといった経営資源配分の議論をベースに、現在地から目標地点到達までの考え得るストーリー(=道筋を示す物語)をいくつか立案し、それらを文章の形で書いてみます。

それらいくつかのストーリーの中から、実現可能性や効率性、達成したときの社内外へのインパクト等を総合的に勘案して、目標達成のための最適なストーリーを選択します。
選択したら、ストーリー(戦略)を最も効果的に実行できるマーケティング・ミックス4Pの組み合わせ(戦術)を考えていきます。

最後に、ロードマップとしての戦略を考えるときのポイントを3つご紹介します。

まず、①大局的な観点から考えるクセをつけましょう。
いきなり細部までこだわりすぎると、視野が狭くなり肝心なところを見落としてしまいがちです。
木を見て森を見ずの失敗をしないように、大空を高く飛ぶ鳥の目になって常に全体の中での位置づけを確認しながら最適なロードマップを作りましょう。

次に、②未来を予見しながら考えるクセをつけましょう。
実は、戦略というのは当初考えたストーリー通りに行くことは少ないです。
細部まで含めると、状況の変化に応じて所々の改良・改善を繰り返しながらストーリーを書き換えてブランディングが進んでいきます。
もちろん、よほどのことがない限りブランディングの根幹部分のストーリーを変えることはありませんが、それ以外の状況の変化に対応して変えるべきところは柔軟にストーリーを書き換える必要があります。
そのため、常に近い未来に起こることを予見しながら、状況の変化に応じてストーリーを書き換えていく柔軟さが必要なのです。

最後に、③論理的整合性があるかどうかを常に確認するクセをつけましょう。
論理的整合性とは、前後の事柄の意味がしっかりとつながっていることです。
つじつまが合っていることです。
論理的整合性がない戦略ストーリーでは、ブランディング活動に携わる関係者の理解を得ることができませんし、ターゲット層の顧客からの理解・納得・共感も得られないからです。
むしろ混乱を招き、せっかくのブランディング活動が失敗に終わる可能性が大きくなります。
したがって、ストーリーの初めから終わりまでしっかりつじつまが合うように論理的整合性に注意を払って戦略を考えていきましょう。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

次回の戦略ブランディング基礎講座(第10回)では、「ブランディング活動の第三段階<ブランド戦略実行>では具体的にどういうことをするのか?」をテーマにご説明していきたいと思います。

それではまた次回にお会いいたしましょう。

私たち&FORCEは、東京・麹町と沖縄・那覇に拠点を置く戦略ブランディングカンパニーです。
「モノ創りを価値あるものへ」を理念に、全国の企業様への戦略ブランディング支援、戦略PR立案・実行支援を中核に事業を展開しております。

私たち&FORCEが心がけているスタンスは、「お客様に一歩先を提示して伴走する戦略ブランディングサービス」をご提供することです。
クライアント様の確かなブランド構築という目標に向かって、共創・伴走させていただきながら事業が自走していく状態になるまで戦略ブランディングサポートを継続致します。 クライアント様に1人で走っていただくようなことは致しません。

ブランディングのお仕事というのは、「考え続ける」お仕事です。
それも、独りよがりの考えではなく、クライアント様の想いやこれまでに紡いできたストーリーをしっかり汲み取って、どうやったら喜んでいただけるかを共に考えていきます。

&FORCEの「&」には、代表・瀧口幸明の<誰かと一緒に何かを作る力は無限大>という想いが込められています。
そのため、クライアント様には様々な業界・業種の方がいらっしゃいますし、弊社のメンバーも年齢・性別やバックボーンを問わず様々です。
様々な人や文化が混ざり合うことから新たな価値が生まれてくると信じております。

私たち&FORCEは、戦略ブランディングや戦略PR関連のお仕事をさせていただいておりますが、特にスタートアップ企業の経営者様や事業承継後の後継ぎ経営者様の戦略ブランディングに関するお悩みに全力で寄り添い、お応えして参りたいと思っております。

&FORCEにご興味を持っていただけましたら、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
クライアント様のお役に立てることを心より願っております。

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[ 参考文献一覧 ]
1.デービッド・アーカー「ブランド論」(ダイヤモンド社 2015年)
2.デービッド・アーカー「ストーリーで伝えるブランド—シグネーチャーストーリーが人々を惹きつける」(ダイヤモンド社 2019年)
3.田中洋「ブランド戦略・ケースブック2.0」(同文舘出版 2021年)
4.田中洋「ブランド戦略論」(有斐閣 2017年)
5.音部大輔「The Art of Marketing マーケティングの技法」(宣伝会議 2021年)
6.羽田康祐「ブランディングの教科書:ブランド戦略の理論と実践がこれ一冊でわかる」(NextPublishing Authors Press 2020年)
7.中川淳・西澤明洋「ブランドのはじめかた」(日経BP 2010年)
8.中川淳・西澤明洋「ブランドのそだてかた」(日経BP 2017年)
9.水野学「『売る』から、『売れる』へ。水野学のブランディングデザイン講義」(誠文堂新光社 2015年)
10.西澤明洋「ブランディングデザインの教科書」(パイ インターナショナル 2020年)
11.乙幡満男「デジタル時代に知名度ゼロから成功する!ブランディング見るだけノート」(宝島社 2021年)
12.乙幡満男「ブランディングが9割」(青春出版社 2020年)
13.齋藤三希子「パーパス・ブランディング〜『何をやるか?』ではなく、『なぜやるか?』から考える」(Kindle版 2022年)
14.デザインノート編集部「デザインノート Premium 最強のブランディングデザイン: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う」(誠文堂新光社 2021年)
15.バイロン=シャープ・前平謙二「ブランディングの化学 誰も知らないマーケティングの法則11」(朝日新聞出版 2018年)
16.佐藤圭一「選ばれ続ける必然 誰でもできる『ブランディング』のはじめ方」(講談社 2016年)
17.丹羽真理「パーパス・マネジメント」(クロスメディア・パブリッシング 2018年)
18.山口義宏「デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 『顧客体験』で差がつく時代の新しいルール」(翔泳社 2018年)
19.バイロン=シャープ・ジェニー=ロマニウク他「ブランディングの科学 新市場開拓編 – エビデンスに基づいた成長の新法則–」(朝日新聞出版 2020年)
20. 楠木建「ストーリーとしての競争戦略」(東洋経済新報社 2010年)
21.ジョン・ムーア「スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン 2014年)
22.小山田育・渡邊デルーカ瞳「ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと」(クロスメディア・パブリッシング 2019年)
23.中川淳「経営とデザインの幸せな関係」(日経BP 2016年)
24.西口一希「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」(翔泳社 2019)
25.フィリップ・コトラー「コトラーのB2Bブランドマネジメント」(白桃書房 2020年)
26.片山義丈「実務家ブランド論」(宣伝会議 2021年)
27.アル・ライズ「ブランディング22の法則」(東急エージェンシー 1999年)
28.クレイトン・M・クリステンセン「ジョブ理論 イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」(ハーパーコリンズ・ジャパン 2017年)
29. 芹澤連「“未”顧客理解 なぜ、「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?」(日経BP 2022年)
30. 森岡毅/今西聖貴「確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力」(KADOKAWA 2016年)

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